- ホーム
- 管理栄養士おすすめ!食物繊維と発酵食品の上手な摂り方
食物繊維の種類や摂取量、上手な摂り方、食物繊維が豊富な食品を紹介します。
さらにさまざまな健康効果が期待されている発酵食品の上手な摂り方についても説明します。
食物繊維と発酵食品を上手に摂取して、”快腸”生活をはじめましょう!
目次
- 1. 食物繊維とは?
- 2. 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維
○ 不溶性食物繊維
○ 水溶性食物繊維 - 3. 体に必要な食物繊維の量
○ 食物繊維はどれくらい摂ればいいの? - 4. 食物繊維の上手な摂り方
○ いろいろな食品を食べる
○ 生よりも加熱する
○ おすすめは具だくさん味噌汁 - 5. 食物繊維が豊富な食品
野菜 / 穀物 / 果物 / 海藻 / 豆 / いも / きのこ / 発酵食品
食物繊維とは?
-
一般に、食物繊維は「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。特定の成分ではく、消化・吸収されずに、小腸を通過して大腸に到達するすべての難消化性成分が食物繊維です。
健康づくりに欠かせない成分ですが、多くの人が不足しています。豊富に含まれている食べ物を積極的に食べて摂取量を増やしましょう。 -
関連コンテンツ
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維
-
不溶性食物繊維
水に溶けない
セルロース、ヘミセルロース、リグニンなど
不溶性食物繊維を多く含む食べ物は、しっかり噛んで食べる必要があるため、早食いや食べすぎ予防に役立ちます。また、水分を吸収してふくらんで便のカサを増し、便通を改善します。水溶性食物繊維
水に溶ける
ペクチン、アルギン酸、イヌリンなど
コレステロールの吸収を抑えたり、血糖値の上昇を穏やかにする作用があるので、生活習慣病予防に有効です。不溶性食物繊維よりも発酵の影響を受けやすく、腸内環境改善に役立ちます。 -
関連コンテンツ
参考文献
体に必要な食物繊維の量
食物繊維はどれくらい摂ればいいの?
現代の日本人が不足しがちな食物繊維。十分な量を摂取するために、日本人の食事摂取基準2020年版では当面の目標として1日に摂取したい目標量が設定されています。
日本人の食事摂取基準(2020年版)より
関連コンテンツ
参考文献
食物繊維の上手な摂り方
いろいろな食品を食べる
-
食物繊維は植物性食品に多く含まれているので、穀物、いも、豆、野菜、海藻、果物といった植物性食品を意識して選びましょう。
食物繊維が豊富であっても同じものばかり食べていると、たくさん摂取している気分になりがちなので、実際は足りていないことも……。栄養バランスの面からも、いろいろな植物性食品を食べるのがおすすめです。
-
生よりも加熱する
-
野菜はゆでるとカサが減り、一度にたくさん食べやすくなります。多く食べられるので、自然と食物繊維の摂取量が増やせます。
また、野菜の細胞壁を構成している食物繊維が熱によって変性することで、生のまま食べると消化・吸収しにくい細胞の内側の栄養素も体に取り込みやすくなります。調理による栄養素の流出や損失も生じますが、それ以上のメリットがあると考えられます。
-
おすすめは具だくさん味噌汁
毎日何種類ものおかずを用意するのは大変!献立をいろいろ考えるのも面倒です。おすすめは、日替わりの具だくさん味噌汁。スープでもOKです。
汁物にすると、流出した栄養素も全部摂取できるので無駄がありません。いも、野菜、きのこなどを適当な大きさに切って冷凍しておくと、その日の気分で好きな具を鍋に入れて煮るだけ。とっても手軽に栄養バランスが整えられ、食物繊維が補給できます。
関連コンテンツ
食物繊維が豊富な食品
野菜
-
毎日の食生活でビタミンやミネラル、食物繊維の補給源になっている食品です。セルロースやヘミセルロース、リグニンなどの不溶性食物繊維が多く含まれています。
みずみずしさや食感を楽しみたいときは生食がよいですが、より多く食物繊維を摂取したいときは加熱調理がおすすめ。さらに、野菜の種類や料理によっては、皮ごと調理するのも食物繊維の摂取量を増やすのに有効です。 -
穀物
-
米や小麦には、不溶性食物繊維のセルロースやヘミセルロースが豊富です。
主食として利用されるため摂取量が多く、食物繊維の重要な摂取源になっています。精製によって食物繊維が減少する傾向があるので、なるべく精製度の低いものを選ぶようにしましょう。米であれば精白米よりも七分つき米や玄米、小麦であれば全粒粉という具合です。精製しない雑穀を精白米に混ぜるのも効果的です。
-
果物
-
果物には、不溶性食物繊維のセルロースやヘミセルロース、リグニンなどが含まれています。食物繊維を多く摂るならジュースではなく果実を食べましょう。
また、ジャムはペクチンの特性を利用して作ります。熱によって溶け出したペクチンと砂糖、果物中のクエン酸などの有機酸が反応してとろみのある形状に変化します。
※ペクチンは未熟果では不溶性ですが、適度に熟すと水溶性食物繊維になります。 -
海藻
-
どの海藻にも含まれているのは細胞壁を構成する不溶性食物繊維のセルロースやヘミセルロース。水溶性食物繊維は海藻の種類によって含まれているものに特徴があります。
たとえば、こんぶやわかめなどの褐藻類には、粘性があり、健康成分としても注目されているアルギン酸やフコイダン、ラミナランなどが含まれています。寒天にはゲル化に関わるアガロースや、弾力などの食感に関わるアガロペクチンが含まれています。 -
豆
-
大豆はたんぱく質が豊富に含まれている植物性食品です。食物繊維はほぼ不溶性食物繊維で、セルロースやヘミセルロースが多く、ペクチン、ガラクタン、アラビナンなども含まれています。大豆以外の豆も不溶性食物繊維が豊富です。
大豆製品には食物繊維が豊富なものと少ないものがあります。大豆の絞り汁で作られる豆乳や豆腐は少なめ。一方、絞って残るおからには食物繊維がたっぷり含まれています。 -
いも
-
含まれている食物繊維の大半はセルロースやヘミセルロースなどの不溶性食物繊維ですが、一様ではありません。さといもの粘りのある水溶性食物繊維のガラクタン、こんにゃくいもには独特の食感をもたらすコンニャクマンナン(※)などが含まれています。
※精粉はほとんどが水溶性食物繊維ですが、ゲル化して板こんにゃくやしらたきになると不溶性食物繊維になります。
-
きのこ
-
きのこは菌類の一種なので植物ではありません。食べられているのは、胞子を作る子実体と呼ばれるところ。毒を含むものもあるため、素人判断で自然に生えているものを食べるのは危険です。
含まれている食物繊維は、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、βグルカンなど。水分が多く低カロリーなので、食物繊維を効率よく摂取するのに適している食品です。
-
発酵食品
-
食材を微生物などの作用で発酵させることによって加工した食品です。
大豆が味噌や納豆になったり、牛乳がヨーグルトやチーズになるような変化を指します。
発酵食品には、乳酸菌などの腸内環境を整えるのに役立つ微生物が多く存在しており、さまざまな健康効果が期待されています。
発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が含まれています。酢酸を作って腸内を酸性にして悪玉菌の繁殖を抑えたり、腸の運動を活発にして便秘を解消したりして、お腹の調子を整える効果があります。
善玉菌は生きたまま腸に届くのが理想ですが、死んでしまっても腸内で有効活用されます。そのため、加熱せずに生で食べることにこだわる必要はありません。それよりも、食物繊維を積極的に摂るように、発酵食品も意識して利用するようにしましょう。 -
-
《監修》健康ライター・管理栄養士
志水 あい
長年、便秘や下痢など、おなかの健康にまつわる記事やレシピを作成している管理栄養士。
子どもも大人も楽しめて、手軽に実践しやすい健康情報を発信しています。